メタルコアやインダストリアル、ストナーに暗黒ドローンを融合した最先端のモダン・ヘヴィネスを代表するCODE ORENGE(コード・オレンジ)の4作目。オリジナルティーを確立した2作目の『I am King(アイ・アム・キング)』、グラミー賞のベスト・メタル・パフォーマンスにノミネートされた3作目の『Forever(フォーエバー)』と、リリースするたびにステップアップした作品を発表し、10年以降のヘヴィーロックを代表する存在として、世間から高い評価をされてきた。
そんな彼らの特徴とは、重く暗くダウナーでヘヴィネス。激しく躁な曲と絶望的に暗く鬱な曲のアップダウンを繰り返し、激しい曲が突如ストップする病的な狂気に満ちたサウンド。メタル特有のハイテンションな熱さや激しさはなく、ダウナーで重く暗い。そこにはまるで精神病患者のような、メルヘンと狂気と絶望が混然一体となった夢遊病世界が漂っている。
今作でも、躁と鬱のアップダウンを繰り返すサウンド・フォーマットは健在。前作よりも激しさに重点を置き、そこにインダストリアルやジャンク、ブレイクビーツ、デジタルな要素を加え、Slipknot(スリップノット)のようなニュー・メタルを、より複雑に、よりカオティックに進化させた。
システムエラーを起こしたデジタル音が洪水のようにあふれ出し、パニックを起こし制御の効かないコンピューターようなの狂った激しさのなかで、ヤクザ映画のような静かな狂気、不気味な笑い声や、厳格なピアノなどの、重苦しい静謐のなかで、目まぐるしい速さで走馬燈のように入れ替わっていく。そこにはまるで人格がくるくる入れ替わる多重人格者のような狂気がある。暴力的な攻撃性、苛立ち、焦り、不安、恐怖、弱さ、不気味な妖艶さといった静と動が混然一体となった情報のオーバーフローと狂気。激しさと静かさが混然一体となった情報が目まぐるしく入れ替わる、狂気なサウンドなのだ。
重苦しいダウナーさよりも激しさのほうに重点を置き、前作とはまた違った魅力のある作品。今作も間違いなく10年以降の新しいスタイルのヘヴィロックの形を提示した作品なのだ。