イギリス出身のストレートエッジ・ハードコア・バンドのデビュー作。イギリスのバンドだが、The Abused(ジ・アビュース)や Straight Ahead(ストレイト・アヘッド)、 Ripcord(リップコード)にProject X(プロジェクトX)、YOUTH OF TODAY(ユース・オブ・トゥディ)など、メタル色が一切ないニューヨーク・ハードコアからの影響が強いバンドだ。
『Demo19(デモ19)』を経て発表された今作では、サウンドのベースとなっているニューヨーク・ハードコアからの影響という部分では変わりはないが、ストップ&ゴーや、テクニカルなメタルギターのソロなどを一部に取り入れ、男くさくも気合とユーモアにあふれたハードコアを展開している。
ストレーエッジと左翼とポリティカルを信念に掲げているバンドだが、歌詞は反核から、戦争反対、反保守、サッカーのことなど、自分たちが心に思った感情を率直に歌ったといった内容が目立つ。“Rather Walk Alone”はイングランド・プレミアリーグのサッカーチーム、エバートンについて。どんなに弱いチームでも見捨てず応援し続ける、エバートンに対する愛着について歌っている。“You’re Next”では、ギャモンと呼ばれる中年の保守層の白人について。ギャモンが、LGBTQとギャングを恐れ、菜食主義者と憎み、All Lives Matter(黒人だけではなく全ての命が重要だろ!)を支持し、難民が仕事を奪っていると考えていると訴え、彼らの行動と思考の全てを否定している。
イギリスのOiパンクの精神的な要素も取り入れつつも、自分が信じた正しいと思うことを衝動の赴くままに活動している。まるで寅さんのような人情深さがある。打算を感じることのない人間味が素晴らしいバンドなのだ。