ニュージャージ出身のニュースクール・ハードコア・バンドのデビュー作。90年代のニューヨーク・ハードコアから進化したバンドで、Cro-Mags(クロ-マグス)やMADBALL(マッドボール)やEARTH CRISIS (アース・クライシス)からの影響を色濃く感じる。
終始ミディアム・テンポで重さを重視したニュースクール・ハードコアで、ギャングのようなシリアスさと緊迫感に満ちた雰囲気が彼らの特徴だ。サウンドはメタルよりに進化をしたのではなく、よりハードコアに深化している。ノイジーでテンポの速いリフ。メタルのようなギターソロ。緊迫感を紡ぐ静かにうねるベース。シンガロングスタイルのボーカル。目新しさこそさほどないが、古き物と古き物を掛け合わせ、彼らしかないオリジナルティーなハードコアを展開している。
『疑いはすべて取り除く』というアルバム・タイトルや<手錠、足枷をかけられた、拘束された>という意味を持つバンド名からも分かる通り、彼らが表現していることは、裏切りや抑圧された人生観について歌っている。
“Nothing Ever Came(何も来なかった)”では、<俺は自分自身を疑い始めている >と歌い、“Doubt Surrounds All (疑いはすべてを取り巻く)”では、<一人で苦しむために残された>と歌っている。全体的に、内省的で煩悶している内容が目立つ。そこには善悪と葛藤し、弱い自分との闘いがある。弱い自分と闘い打ち勝つ精神力、孤高の力。それが彼らの個性なのだ。
真冬のコンクリートから出る冷気に、寒さで身が凍えながら、一人でストイックに自分を追い込んでいく孤高の姿勢。ニュースクール・ハードコアらしい、そんな雰囲気が漂ったバンドなのだ。