Stand Still (スタンド・スティル)
『A Practice in Patience (ア・プラクティス・イン・ペイシェンス)』

ニューヨーク州ロングアイランド出身のメロディック・ハードコア・バンドのデビューEP。DAG NASTY(ダグ・ナスティ―)から始まり、H2Oを経て、Silent Majority(サイレント・マジョリティー)やHave Heart(ハヴ・ハート)へと続いていく東海岸のメロディック・パンクの伝統を継承したバンド。

 

Silent Majority(サイレント・マジョリティー)や Inside(インサイド)、 The Movielife(ザ・ムーヴィーライフ)に Taking Back Sunday(テイキングバック・サンディ)などのバンドに影響を受けバンドを始めたStand Still (スタンド・スティル)。ここで展開されているサウンドは哀愁漂う切ないメロディーをベースにしたメロディック・パンク。光がキラキラ光る水面のような透き通ったメロディーの裏側には、どこか憂いや切なさといった陰りを含んでいる。憂いや切なさを振り切るように激しく疾走していくサウンド。切なさを疾走していくメロディック・パンク・バンドといえば、イギリスのLEATHERFACE(レザーフェイス)を思い起こさせる。サウンド的にはLEATHERFACE(レザーフェイス)の影響はないが、LEATHERFACE(レザーフェイス)の切なさを疾走していく感覚を含みながらも、The Get Up kids(ゲッド・アップ・キッズ)のような憤りを感じたエモの要素を加え、現代風にパワーアップさせている。それがStand Still (スタンド・スティル)の特徴といえるだろう。

 

“The Cave(洞窟)”の<希望に満ちた憧れにうんざりしている。でもどこに行けばいいのかわからない>といった内容の歌詞や、“Lockbox (ロックボックス)”の<ぼくの不幸な未来。ぼくが信じられなかった人生を生きるために>の歌詞からは、自己肯定感が低く、内省的で自己と葛藤している内容が目立つ。そこには現代の若者らしい自己評価の低い感覚がある。これがいまどきの若者らしいエモい価値観で、まさに最前線のエモ・メロディック・パンクの進化位置にいるバンドなのだ。