ドイツはベルリン出身のポストパンク・バンドの2作目。もともとは2019年に発売された作品だが、今回リマスターして再発。Wire(ワイヤー)に近いポスト・パンクを展開しているバンドで、ところどころに80年代の古き良き懐かしさを感じる。
前作と同じくポストパンク路線を今作も踏襲しているが、JOY DIVISION (ジョイ・ディヴィジョン)のようなシンセやデジタル音を取り入れ、さらに洗練されたサウンドを展開している。
前作と同じくベースになっているのは無機質なドラムが前に出たサウンドで、そこに機械的で無機質なデジタル音や不気味で妖しげな光を放つメロディーが絡む展開。歌詞は“Foreign Policy(外交政策)”や“Disintegrate (崩壊)”など、政治的な内容について歌っているようだが、怒りや激しさといった感情はなく、退廃的でメランコリック。まるで絶望や破滅に向かっていくカタルシスを感じさせる。
ポスト・パンクという前近代的なサウンドだが、そこには破滅に向かっている現在的な感覚が漂っている。絶望と憂鬱さと悲しみが入り混じった殺伐としたダークなサウンドがかっこいい。