フィンランドはヘルシンキ出身のクロスオーバー・スラッシュ・バンドの3作目。
Agnostic Front(アグノスティック・フロント)などの80年代ニューヨーク・ハードコアに、Black Sabbath(ブラッグ・サバス)などのメタル、Metallica(メタリカ)などのスラッシュ・メタルを融合した、昔懐かしさを感じるクロスオーバー・スラッシュ。
懐古主義的なサウンドだが、いまの若者のバンドでは失われてしまったエネルギッシュさや昭和的な活気にあふれている。スラッシュ・メタルのザクザク刻むリフ、昔のメタル・バンドには必ずあったギターソロ、徹底的に速さを追求するスピーディーなドラム。どれをとっても躁病的で懐かしさを感じるサウンドなのだ。
バンドコンセプトも、地獄や悪魔や墓場など、80年代的なメタルの世界観が根付いている。墓あらしや狂気の迫害妄想などの歌詞には、一般大衆が忌み嫌うような価値観の崇拝と狂気、シリアスさをまったく感じさせないジョークともとれる感情が入り混じっている。
前作を通じてそんなに変化の乏しいバンドだが、重さを重視した前作よりも、今作ではよりのノイジーになり、ギターのテクニックにスポットを当てたサウンドに変化している。
そこには昔の熱血漢のような熱さと、鼻血が出るようなエネルギッシュさに漲っている。ファミコンの16連射のような無駄な技術をひたすら追求する情熱と、古き良き時代のすばらしさを思い起こすような懐古主義サウンドで、ストレスがなくなるようなスカッとするような熱さが魅力のバンドなのだ。