ケンタッキー州ルイビル出身のストレートエッジ・ハードコア・バンドの2枚目のEP。前作では独特なギターサウンドに、Youth of Today (ユース・オブ・トゥディ)の影響が強いユース・クルー・ハードコアを合わせたサウンドを展開していたが、今作ではさらに飛躍を遂げた作品に仕上がっている。
まるでThe Dillinger Escape Plan(ザ・デリンジャー・エスケイプ・プラン)を彷彿とさせるカオティックなサウンド。90年代のメタリック・ハードコアをベースにしながらも、サイケディックなどを加えた独特なギターには、新鮮でモダンな2020年代を象徴する彼らしかないサウンドを展開している。
4ビートからブラストビートまで変則的にリズムが変わっていくドラム。サイケデリックなギターや叙情的なメロディーに、ノイジーで重いリフ、マシンガンのように連射するリフが、目まぐるしく入れ替わる独特なギター。シャーマンのようなテンションで絶叫するボーカル。まるで高速で動く万華鏡のようにサイケデリックかつカオティックで、そこに現代的な叙情さを加えたサウンド。
歌詞で歌われている内容は、麻薬が蔓延しているアメリカの現状と、政治家が大企業や大手製薬会社と手を込み進める大麻回帰への批判。汚職にまみれた政治の腐敗などがテーマになっている。
尋常でない怒りのテンションのボーカルと、薬物中毒者のようなカオティックなサウンドからは、ドラッグを心の底から憎んでいる姿勢と、中毒者の恐怖が感じられる。
ジャンル分け出来ないほど、新しいサウンド。彼らも新世代を象徴するハードコア作品で、個人的には昨年のベスト10に入るほど、素晴らしい作品だ。