メンバーがノースカロライナ州とサウスカロライナ州の両方からなるカロライナ出身のポスト・ハードコア・バンドのデビュー作。個人的にこういったサウンドを展開しているバンドは大好きだ。ダリのようなシュール・レアリスムとでも呼ぶべきか、Quicksand(クイックサンド)やSnapcase(スナップケース)のように、混沌とした精神世界を表現したバンドだ。
Excide(エキサイド)のサウンドとは、エクスペリメンタルなギターサウンドに、スクリーモやジャズ、プログレの要素を加えたポスト・ハードコア。悲痛の叫び声のスクリームに、変拍子を多用したギター。寂寥感に満ちた神経質でもの哀しいメロディーと、嵐のような轟音がおりなすカオティックなサウンド。シュールレアリスムの画家のようにサイケデリックで病んだ世界をイメージさせる壮大なサウンドスケープ。そこには寂寥感や物憂げな憂鬱さ、孤独、疲労、癒しなど、メランコリックで病んだ精神世界が漂っている。
Quicksand(クイックサンド)やSnapcase(スナップケース)のサウンド・フォーマットを、現代に甦らせ、新しい要素を加え、進化したハードコア。彼らもまたボルチモアのハードコア・シーンと匹敵するほどく、現在のハードコアの最前線にいるのバンドひとつだろう。個人的には22年のベスト5に入る、すばらしい作品だ。