コロラド州デンバー出身のパワーバイオレンス・バンドのデビューアルバム。前作まではTrash talk(トラッシュトーク)以降の極限までノイジーなサウンドを追求したハードコアを展開していたが、今作ではパワーバイオレンスなサウンドに変化している。
UKハードコア色の強い2ビート、2コードで、1分弱のファストに終わる展開。前作までは録音状態が悪く、そこが功を奏してノイジーでブルータルな迫力あるサウンドだった。今作では、エフェストのかかったボーカルの歌声に代わり、ギターサウンドも重さが増している。
『Universal Paranoia(万人向けの妄想症)』と名付けられた今作では、歌詞も“Mental Wreckage(精神の残骸)”や“Malignant Fantasy(悪性の幻想)”などの曲では、ドクロや戦争の爆撃などの悪いイメージの妄想癖と、暴虐で荒々しいブルータルな内容でしめられている。
ノイジーで不協和音というサウンドを重視した前作よりも、今作では完成度を重視して作られているため、若干激しさや焦土が薄れてしまった印象がある。戦争の残虐さなどの偏執病的な妄想と野獣のような暴虐さと勢いと激しさに満ちたハードコア。それがRaw Breed(ロウ ブリード)の個性なのだ。