Straw Man Army(ストロー マン アーミー)
『SOS(エス オー エス)』

奇抜で実験的なポスト・パンクを追求しているバンドを積極的にリリースしているイギリスのレーベルLA VIDA ES UN MUS DISCOS(ラ ヴィダ エス ウン ムス デスコズ)から発売の、ニューヨーク出身のポスト・パンク・バンドの2作目。

Owen Deutsch(オーウェン・ドイチュ)とSean F. (ショーン・フェントレス)からなる2人組のバンドで、音の数を極力減らしたミニマムなギターや淡々としたリズムドラムなど、静けさに満ちた素朴でシュールなサウンドを演出。『S.O.S』とタイトルが付けられた今作では前作と比べると、ノイジーなギターを取り入れ、やや激しさが増した。それでも淡々としたサウンドに変わりはない。リズムが一定でサビなどの上がる箇所がない、終始詩の朗読のような淡々とした展開している。怒りや激高などの感情の起伏のないサウンドだが、ギターアレンジの豊富さがこのバンドの魅力になっている。

万華鏡のようにサイケディックな輝きを放つメロディーだが、この世の隔絶した土地で美しくならされているような、誰とも繋がっていない孤立感が漂っている。

アナーコパンクと呼ばれているように、RedDeal(レッドディール)という植民地で採掘プロジェクトしている大企業を反対する運動に、売上の一部を寄付したり、政治的な活動をしている。今作でもエルサレムを首都にこだわるアメリカ政府を非難した“エルサレム症候群”から、環境汚染を歌った“注意”など、政治的な内容を歌っている。

そこには怒りはなく、静かに淡々と忍び寄る死の恐怖を感じる。どこにもないオリジナルティーを確立しているサウンド。個人的にかなり好きな作品だ。