SHITFUCKER(シットファッカー)
『Sex With Dead Body(セックス・ウィズ・デッド・ボディー)』インタビュー

SHITFUCKER(シットファッカー)がフルアルバムとしては7年ぶりとなる新作『Sex With Dead Body(セックス・ウィズ・デッド・ボディー)』を発表した。間違いなく最高傑作といえる内容で、音圧から音質ともに、素晴らしい作品に仕上がっている。G.I.S.M(ギズム)のバイオレンス性から、VENOM(ヴェノム)のサタニズム、Motörhead(モーターベッド)のワイルドさと、GG Allin(GGアリン)のスカトロ性をぶち込み、卑劣さとナチズムと血と暴力などの、あらゆる邪悪な要素を詰め込んだ。といってもけっしてシリアスではなく、白目を剥いた姿からは、どこか笑えるユーモアが漂っているのだ。アルバム・ジャケットには、まるでヤンキー漫画のように、喧嘩の強いものが世界を征すような暴力に満ちた世界観がある。そこにもコミカルな要素が漂っている。今回、フロントマンであるZyklon-T(ザイクロン-T)に、新作の手ごたえから、目指している世界観、バンドアティテュードにいたるまで、話を訊いてみた。

SHITFUCKER

———今回インタビューに応じていただき、まことにありがとうございます。コロナウイルスが世界中に蔓延して、大変な状況ですが、デトロイトのほうは大丈夫ですか?

Zyklon-T (Guitar/B. Vocals):デトロイトも大変なことになっているよ。この地域だけで6,500人が亡くなっているし、多くの企業が3月から閉鎖している。再開するメドがたっていないんだ。現在、多くの人々がマスクを着用しているけど、コロナが流行るまでは、マスクをしている人なんかいなかったんだ。でも現在、多くの人々が、新しいライフスタイルに慣れつつある。閉鎖が続く状況に、本当にうんざりしている。現在アメリカは信じられないほど多くの問題を抱えている。コロナが起きる前では考えられなかったことばかりだ。

———SHITFUCKER(シットファッカー)を結成した経緯について教えてください。

Zyklon-T(ザイクロン-T): SHITFUCKER(シットファッカー)は、Dik(AKA:Daemonbitch(デーモンビッチ) – Bass / Vocals)、Bruce(ブルース)-Guitar)、Tony(トニー)-Drums)によって、05年の春に結成されたんだ。Daemonbitch(デーモンビッチ)とTony(トニー)は、当時まだ高校生だった。初期DISCHARGE(ディスチャージ)とSHITLICKERS(シットリカーズ)に影響されたDビートのハードコアを演奏していた。酒に酔ったような酩酊したサウンドを演りたかった。06年に2人のギターが参加し、4ピースのバンドになった。2人が加入するとスタイルが変わり、ラウドで重くなった。当時、DISCLOSE(ディスクローズ)や、GLOOM(グルーム)、G.I.S.M(ギズム)にCONTRAST ATTITUDE(コントラスト・アティテュード)、CROW(鴉)、GAUZE(ガーゼ)やAGE(エイジ)といった、日本のハードコアをたくさん聴いていた。非常にノイジーでメタリックなハードコアが好きだった。俺たちのサウンドに確実に反映されている。Tony(トニー)が07年に辞めて、Bruce(ブルース)がドラムを引き継いだ。3ピースのバンドに戻り、俺はボーカルとギターを担当することになった。このメンバーが最初のE.Pをレーコーディングしたラインナップだ。08年に発表した『I.N.R.I.-F.O.A.D.』の時まで、バンドのメンバー全員が、オカルト(神秘的なもの)に深く関与してた。俺たちは悪魔崇拝をし、黒い化粧、革、スパイク、およびスタッドを着始めた。クラッシャー・パンクなサウンドと、VENOM(ヴェノム)、BATHORY(バソリー)、HELLHAMMER(ヘルハマー)などのブラック・メタルを融合した。これは飲酒とドラッグを長い時間やるようなものだよ。結局Bruce(ブルース)は耐えきれなくなり、バンドを去った。“Psycho” Styx Chizzler(“サイコ”スティク・チズラー)は、当時Dik(ディク)のルームメイトだったので、彼にドラムを担当してもらった。そして11年にE.P『Sexual Maniac(セクシャル・マニアック)』をレコーディングした。それ以来彼はShitfucker(シットファッカー)のドラマーであり続けている。Zyklon-T(ギター)、Daemonbitch(ベース/ボーカル)、Styx(ドラム)のラインナップで、2枚のLP『Suck Cocks In Hell(サック・コック・イン・ヘル)』と『Sex With Dead Body(セックス・ウィズ・デッド・ボディー)』をレコーディングした。Styx(“サイコ”スティク・チズラー)はバンドを去り、NUKE(ニューキ)とPERVERSION(パヴァション)でドラムを叩いていた”Python” Pete Gibbs(“パイソン”ピート・ギブス)が加入した。これが現在のラインナップだ。

———デトロイトはパンクの先駆者であるIGGY POP(イギーポップ)を生んだ地域で、アメリカン・ハードコアのレジェンド、NEGATIVE APPROACH(ネガティヴ・アプローチ)を生んだ土地柄でもあります。SHITFUCKER(シットファッカー)のサウンドにはデトロイトの伝統を感じることが出来ます。デトロイトという地域性が、音楽に反映された部分を教えてください。

Zyklon-T(ザイクロン-T): ははは…それほどアピールする部分がないのが、デトロイトの魅力かな。タフな街で、労働者階級の都市であり、人々は荒々しく危険な場所に魅了される傾向にある。間違いなくデトロイトのエネルギーのいくつかは、THE STOOGES(ザ・ストゥ―ジーズ)やNEGATIVE APPROACH(ネガティヴ・アプローチ)のようなバンドを、対立させ、怒らせたりする原動力となった。デトロイトの日常生活への欲求不満が、俺たちのサウンドに強く影響を与えた。猛烈に発狂したサウンドになった理由に間違いない。デトロイトで生き残るには、”fuck you(ファック・ユー)”アティテュードを発展させるしか方法はない。ジャンルや世代を問わず、このアティテュードは多くのデトロイトのバンドに流れる独特な伝統なんだ。

 

SHITFUKER

「Sex With Dead Body」

HELLS HEADBANGERS Records