DOWNCAST(ダウンキャスト)
『Tell Me I Am Alive(テル・ミー・アイ・アム・アライブ)』インタビュー

じつに25年ぶりの新作である。Downcast(ダウンキャスト)とは、90年代初頭にわずか3年間ほど活動していたバンドで、アンチ‐レイシズムやアンチ-バイオレンスなどのイデオロギーを掲げていた。彼らが所属するレーベル、Ebullition Records(エボリューション・レコーズ)は、アンチ-コーポレートの理念を掲げ、弱者から富を搾取するアマゾンなどのグローバル企業には、商品を卸さない、徹底した姿勢を貫いている。00年代から使われ始めたスクリーモという言葉は、当時、エモーショナル・ハードコアのバンドが叫ぶという意味で使われ、とくにEbullition Records(エボリューション・レコーズ)やGravity Records(グラビティ・レコーズ)などのバンドたちを示す言葉だった。ダウンキャストはスクリームなど歌唱法を、いち早く取り入れたバンドのひとつだった。今回、ギタリストのBrent Stephens(ブレント・ステフォンズ)とボーカルのKevin Doss(ケヴィン・ドス)にインタビューを敢行。25年ぶりとなる新作について、話を訊いた。

———日本で初めてダウンキャストを知るファンもいると思います。まず初めにバンドを結成した経緯から、バンドの歴史について教えてください。

Brent(Gr): Downcast(ダウンキャスト)は、1990年に結成したんだ。 Dave McClure(デイヴ・マクリュア(Bs))とKevin Doss(ケヴィン・ドス(Vo))は、南カリフォルニア出身の幼なじみで、高校のときに同じバンドを組んでいた。俺とケヴィンは大学で知り合った。3人ともパンクやハードコアが好きで、ケヴィンとデイヴは、Black Flag(ブラッグ・フラッグ)や、The Minutemen(ザ・ミニットメン)、X(エックス)などのLAパンクが好きだった。俺はイギリスのハードコアのDischarge(ディスチャージ)や、D.R.I(ダーティー・ロットン・インベシブル)やC.O.C(コローション・オブ・コンフォミティー)のようなクロスオーバー・スラッシュのバンド、Rites of Spring(ライツ・オブ・スプリング)のワシントンDCシーンのハードコア、初期Metallica(メタリカ)が好きだった。俺たちが出会ったとき、みんなポリティカルな意見を持っており、自然と政治的信条をもったバンドを結成したしんだ。ワシントンDCや、西海岸のベイエリア、イギリスで勃興した政治的なパンク・シーンと同じように、南カリフォルニアで起こっている様々な問題を、歌いたかった。
 
バンドを始めたとき、メンバーみんな、楽器の弾き方がよく分からなかったんだ。それにカルフォルニア・シーンの伝統とアイデンティティについても、理解していなかった。学ぶべきことがたくさんあったよ。バンドを組んで自分たちが伝えたい気持ちを、音楽を通じて表現しているだけで、気持ちが高揚して、曲を作ることに喜びを感じていたよ。週末にケヴィンの家に集まり、ガレージでリハーサルをしていた。完成した曲をレコーディングするだけで幸せだった。何時間も練習をし疲れて、その後ケヴィンの車で、ロサンゼルスの自宅に帰ったときことを、よく覚えている。
 
バンドとしてなにを表現したいのか、明確な会話なしに、7インチEP『Downcast』を制作したんだ。その流れでLP『Downcast』を制作して、バンドが自然と成長していった。サウンドは成熟し、暗くなり、より多くの影響を反映することができた。俺たち全員にとって最も重要だったのは、人間としての存在をよりリアルに現すこと。それができた作品だった。俺たちは、サウンドを苛烈で殺伐としたダイナミックなものにする一方で、悪いものに染まる心の弱さや、脆さなどの脆弱な要素を加えた。歌詞には反性差別、反同性愛嫌悪、反大企業資本主義、反キリスト原理主義など、ハードコア・シーンが欠落していると感じたものを、歌った。あと希望と絶望の心の揺れ動きなど、個人的なテーマについても歌っている。

 

———ダウンキャストはアンチ-レイシズム、D.I.Y、反大企業資本主義などの歌詞が多いです。どんなアティテュードのバンドを目指しておりましたか?

Brent(Gr):どんなバンドになりたかったとか、話し合ったことはないよ。模倣することから始め、そこから前進した。アンフェアで苦痛を与える社会に対して、批判的な姿勢で取り組み、抑圧に立ち向かってきた。ダウンキャストは、Sonia Skindrud(ソニア・スキンドラッド)とKent McClard(ケント・マクラード)と、カリフォルニア南部と北部のハードコアシーンの友達のおかげで活動できた。ソニアとケントはどちらも自主的な考えを持った思想家で、俺たちの生活に強い影響力を与えた。彼らが制作した雑誌“ No Answers(ノー・アンサーズ)”で、俺も執筆させてもらった。バンドで活動していくうえで、いろいろなことを学ばせてもらったよ。7インチEP『Downcast』は、No Answers9号と一緒にリリースされたんだ。彼らは心強い友達で、誇張することなく、俺たちの掲げる政治信念を雑誌に取り上げてくれた。どちらも輝かしい人物だよ。

Downcast
Tell Me I Am Alive

Ebullition Records