EASYCOREイージーコア・シーンについて(2008~)

 
メタルコアをポップ化した第四世代~08年以降
そして第四世代となるイージーコアの特徴は、メタルコアのポップパンク化。Easycore(イージーコア)という名前の由来は、2008年にNew Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)が、A Day to Remember(ア・ディ・トゥ・リメンバー)とFour Year Strong(フォー・イヤー・ストロング)、SET YOUR GOAL(セット・ユア・ゴール)の3バンドを連れて、イギリスとアメリカを周ったツアー名に由来する。
easycore
出典:Easy Core Tour
 
イージ―コアの開祖となるNew Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)とA Day to Remember(ア・ディ・トゥ・リメンバー)
そもそも第二世代のニュー・ファウンド・グローリーが付けたツアータイトルが、第四世代を象徴する名称として定着した理由は、その音楽性にある。New Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)は、フロントマンであるギタリストのChad Gilbert(チャド・ギルバート)が、以前Shai Hulud(シャイ・ハルード)という叙情コア・バンドのボーカルで活動していた。チャドはNew Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)でもずっしり重い金属質のメタルギターを、変わらず演奏していた。それなのに彼らがポップ・パンクと呼ばれた理由には、ボーカルのJordan Pundik(ジョーダン・パンディック)のハスキーでメロディックな歌声のインパクトにある。彼の歌声にはすべてメロディック・サイドに引き込む、求心力があった。(初期のころのニュー・ファウンド・グローリーのサウンドをボーカルなしで聴いてみるとおそらく理解できるだろう)無意識のうちにヘヴィーなサウンドをポップパンク化するという、稀有な才能の持ち主だったのだ。
New Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)
出典:EASYCORE’S NOT DEAD
 
そしてメタルコアのメロディック・パンク化を意図的に演ったのがA Day to Remember(ア・ディ・トゥ・リメンバー)だ。彼らの場合、呪詛や憎しみに満ちたメタルコアのデス声をメロディーフレーズに乗せ、青春の苦悩の叫びへと変換し、ダークな要素をポップ化する緻密に計算されたサウンドを展開していた。
A Day to Remember(ア・ディ・トゥ・リメンバー)
出典:GRASPOP
 
そのほかにも熱い歌声と絶叫が魅力のFour Year Strong(フォー・イヤー・ストロング)、メロディック・ハードコアに熱いシャウトを加えたCLOSE YOUR EYES(クローズ・ユア・アイズ)なども、イージーコアの先駆者といえるだろう。
Four Year Strong(フォー・イヤー・ストロング)
出典:substream magazine.
 
新世代のイージ―コアを代表するバンド~10年以降
だが08年当時、アメリカでは、イージーコアと呼ばれることに否定的な意見を持ったバンドが多かったそうだ。その理由はイージー(単純)というバカにされたようなニュアンスが、イージーコアには含まれていたからだ。アメリカではイージーコアと呼ばれることに対して嫌悪感を抱いていたバンドが多かったが、近年、フランスや、イタリア、スウェーデンなどから多くのバンドを輩出し、本場アメリカ以上にシーンを盛り上げている。
 
現在、イージーコアと呼ばれているバンドたちは、BLINK182(ブリンク182)のギターメロディー、New Found Glory(ニュー・ファウンド・グローリー)のハンマーギターのリフ、A Day to Remember(ア・ディ・トゥ・リメンバー)のデス声、Motion City Soundtrack(モーション・シティー・サウンドトラック)ムーヴシンセ、メロディックパンクのシンガロング・コーラスなど、過去のメロディック・パンクをいい部分を総まとめにしたハイブリットなサウンドを展開している。ここでは、メタルコアのポップ化と、上記のハイブリットなサウンドを展開している、新世代のイージーコア・バンドたちを紹介したい。