Grindcoreグラインドコア・シーンについて

ピッグ・デストロイヤー
出典:BANDCAMP

Pig Destroyer(ピッグ・デストロイヤー)

アメリカはバージニア州出身のバンド。Anal Cunt(アナル・カント)を超える過激なバンド名を目指し、バンド名をPig Destroyer (豚の破壊者)にしたそうだ。最初はCopKiller(コップ・キラー)、もしくはCopDestroyer(コップ・デストロイヤー)の2択に悩んでいたが、これではダメだと判断し、最終的に「Pig Destroyer」(「pig」は警察の蔑称的なアメリカの 俗語)に決まったそうだ。歌詞は、愛への執着などの暗くてねじれた物語を中心に、ゴア・グラインドのような残虐性も取り入れている。電気がショートしたようなギターのリフ。ボーカルの怒声、ブラストビートを超えた連射ドラム。一つ一つのパーツを丹念に磨き、グラインドコアを現代風にブラッシュアップしたサウンドなのだ。

クレチン
出典:ENCYCLOPAEDIA

CRETIN(クレチン)

アメリカはカルフォルニア州サンタ・クルーズ出身のバンド。DVDでは、性同一性障害に悩まされていたヴォーカルのMarissa Martinez(マリッサ・マルティネス)が、性転換手術に踏み切った理由と、その後の活動とグラインドコア・シーンについて語っている。自分が望んでいた本来の姿をさらけ出したことによって、抑圧から解放され、充実した人生を送っているMarissa Martinez(マリッサ・マルティネス)の、生き生きとした姿が印象的だった。


出典:Unholy Grave official

Unholy Grave(アンホリー・ブレイブ)

そのほかにもベルギーのグラインドコアAGATHOCLESと、Minecore(ミンスコア)と呼ばれたカナダのARCHAGATHUSのインタビュー、日本の社会問題に焦点を当てたグラインドコア・バンド、Unholy Grave(アンホリー・ブレイブ)のインタビューと、世界各地で活躍するグラインドコア・バンドのインタビューも収録。


出典:Discogs

siege(シージ)

そのほかにもハードコアとグラインドコアの中間にいる、その後のパワーバイオレンス・シーンに多大な影響を与えた80年代の活動していたボストンのハードコア・バンドsiege(シージ)のインタビューも掲載。Discharge(ディスチャージ)は当時のイギリスの首相であるMargaret Thatcher(マーガレット・サッチャー)を嫌ったが、siege(シージ)は当時のアメリカの大統領のRonald Reagan(ロナルド・レーガンを嫌ったというエピソードは、アメリカ人とイギリス人に共通するパンク精神が伺えて、とても面白かった。

このDVDで惜しいところは、グラインドコアの進化系のシーンであるSPAZZ(スパッツ)やMan Is the Bastard(マン・イズ・ザ・バスタード)などのパワーヴァイオレンス・シーンについてはくわしく語られていないところ。でもそれを差し置いてもこれだけグランドコア・シーンにピンポイントをあてたくわしく紹介した作品はいままでなかった。グラインドコアとは、妬み嫉み憎悪、嫌悪といった負の情念が、パンク・ハードコア・シーンの最下層にたまった澱のような音楽ではないだろうか。パンク・ハードコアの一番ヘヴィーな部分を担った音楽ともいえる。そこにはTHE CLASH(クラッシュ)やSEX PISTOLS(セックス・ピストルズ)のような社会に反発するカッコよさもなければ、Minor Threat(マイナー・スレット)やBlack Flag(ブラッグ・フラッグ)のようなアンチテーゼな思想もない。ポシティヴな要素がなければ、夢や希望が語られることはない。まさにDVDのタイトル『slave to the grind(スレイブ・トゥ・ザ・グラインド)』“セックスの奴隷”や、“社会組織の歯車”という猥雑な隠語が示すとおり、最下層に位置する音楽なのだ。絶対にメインストリームに駆け上がることのない音楽だが、そこには欲望や画一的であることを否定している唯一無二の個性がある。隠語の裏には<世間一般受けする音楽を作ることなく、音楽シーンを席巻する>といった意味も隠されているのだ。グラインドコアの全ての魅力が詰まったDVDなのだ。

Slave To The Grind A Film About Grindcore

Death By Digital