Wiccans(ウィッカンズ)『Phase IV(フェーズフォー)』 (2025)
テキサス州デントン出身のテキサス・ハードコア・バンドによる5作目。初期はスピーディーで荒々しいハードコア・パンクを鳴らしていたが、作品を重ねるごとにメロディックな要素を取り込み、サウンドを磨き上げてきた。
本作では、『Sailing A Crazy Ship(セイリング・ア・クレイジー・シップ)』で完成したスタイルをさらに推し進めている。初期MDCを思わせるスピーディーなハードコアにメロディを加えた基盤に、サイケデリック・ロックの質感やサザン・ロック風のリフを重ね、まるで映画『プレデター』のような世界観を構築している。
歌詞では、「PRIMORDIAL SORCERY (原始の魔術)」で〈絶滅の孤独、原始の魔術、あなたの差し迫った破壊〉と歌い、「BELLY OF THE BEAST(野獣の腹の中)」では〈獣の腹が縫い目から破裂、青白い物質、血まみれの肉塊、地球の消滅〉と描写する。そこに広がるのは、近未来とエイリアン襲来が混ざり合った妄想的ディストピアだ。
悪酔いのように視界を歪ませるサイケデリックなギター、簡潔な言葉を吐き捨てるヴォーカル、そしてノイジーでスピーディーなオールドスクール・ハードコアが、テキサス・ハードコア特有の“厭わしさ”と“不快さ”を凝縮した強烈な嫌悪感を生み出している。
MDC、Dicks(ディックス)、Big Boys(ビッグ・ボーイズ)を混ぜ合わせ、現代的にアップデートしたようなサウンド。まさに“真のテキサス・ハードコア”の後継者と呼べる作品である。