and Their Name Was Treason A Day To Remember Indianola Records 2005-05-09 |
フロリダ出身のメタルコア/メロディック・パンク・バンドの05年に発表されたデビュー作。アメリカではメタルコアにポップ・パンクを融合したバンドとして語られているが、彼らの功績とは、メタルコアのポップパンク化。このデビュー作では、まだメロディック・デスメタルやスクリーモから発展したサウンドを展開している。メロディーには、アイアン・メイデンやヴァンヘイレン、映画音楽からの影響がうかがえる。いうならスクリーモやメロディック・デスメタルに、映画音楽などポップの要素を加えたバンドだ。
今作はそれほどオリジナルティーあふれた作品ではないが、彼らならではの個性がうかがえる。その個性とは、アクション映画の死を意識したワンシーンのような緊迫した空気とクールな世界。“イントロ”では、映画のワンシーンのようなボーカルの台詞が厳かな緊迫感をつむぎだし、<あなたを信じながらも、嘘を探した>と、疑心暗鬼に陥っている自分の心情について歌っている。スクリーム(叫び)が痛々しい“ハートレス”では、<私は内側からダメージを受けている~私は壊れた>と、傷つきささくれ立った心情風景を描いている。
ここで歌われているのは、内面世界と外の世界とのギャップと乖離。自分の気持ちを理解してもらえないことへのもどかしさ。裏切りによる悲しみなどが、まるでラブコメのように、ロマンチックに彩られた世界がある。思慮的で憂いと暗さに満ちたピアノの音とスクリームとの組み合わせはとてもクールでカッコいい。オリジナルティーが希薄に感じる部分もあるが、聴きやすい作品に仕上がっている。