Rod Joakim Berg Kent Sony Import 2008-04-16 |
デジタルサウンドにますます拍車がかかった09年発表の9作目。ここでは4つ打ちのビートや、水面を弾くようなシンセ音など、機械的な音を大々的に取り入れている。その反面バイオリンやアコースティックギターなどの古典的な楽器も導入し、クラッシク音楽からの影響も強くなり、新しさと古さの入り混じった独創的なサウンドになった。
個々の独創的なアレンジが緻密に構築された複雑なアンサンブル。そこには、革命前夜の末期ロシア帝国の暗さを髣髴とさせる憂鬱さや心の荒廃、緩やかな風に当たっているときのような心地よいやすらぎ、劇的な出来事が身に降りかかったときのようなショックといった感情が儚くも切ない美しいハーモニーを奏でている。
まるでビーチボーイズがサーフロックから宅録ポップに移行したように、このバンドもそういった方向に向かっている。