Off! Off! Vice Records 2012-05-06 |
12年発表の2作目。前作と同じく、ラモーンズをベースにしたハードコアに、激しく始まりあっという間に終わるファウストな展開に変わりはない。すべての曲が1分台で、基本的には前作と変わっていない。変化があるとすれば、メロディーの熟味をまし、ギターソロの曲が増えたということだけか。だがそこに技術的な進歩を感じることが出来る。アルバム全体ワンフレーズを執拗に繰る返す展開で、繰り返すことによって、ギター扇情的に攻撃しろと煽っている。そこにギターソロなどを加えることによって、曲の違いを際立たせている。なかでも意外性に富んでいるのは“キング・コング・バゲイド”。静かなメロディーのイントロで始まり、感情を煽るギターソロが展開され、不気味なジャングルの騒音で終わる。1分37秒の中に、複雑な要素を詰め込んでいる。アルバム全体を通してこれほど練られた展開の曲はこの1曲しかない。それほどインパクトが強い曲だ。荒削りなサウンドにギターのアレンジを加える技術を習得したのだ。そういった確実に成長している。
歌詞は相変わらず<サノバビッチ>など汚い言葉を吐きながら、メディア批判などをし、むしゃくしゃした気持ちをサウンドにぶつけている。まるでホラー映画、『チャイルドプレイ』に似た、コメディー感覚と狂気を感じることが出来る。アメリカ的な匂いの強い作品だ。