Wasted Years Off! Vice Records 2014-04-07 |
14年に発表された。2作目。相変わらず前作と変わらないサウンドを展開している。ラモーンズから発展した分厚い音の3コード。8ビートのドラム。1分半のファストなハードコア。まるで居酒屋でクダを巻き叫ぶオッサンのテンションのようなボーカルと、キース・モリスの個性。どれをとってもまったく変わっていない。
それよりもむしろアレンジの豊富さがすごい。ギターの音とボーカルの歌い方は、全曲一緒なため、下手したらすべて同じ曲に聴こえる。だが、1曲1曲細かいギターのディテールにこだわり、ギターコードのバリエーションの豊富なため、当たり前だが全曲違っている。それを16曲も作れるところがこのバンドのすごい部分だ。アルバム全体、勢いだけで突き抜けることだけを念頭に作られている。典型的なハードコアなアルバムといえるだろう。
それにしても近年のキース・モリスの元気さはなんなのだろう。サークル・ジャグスで一緒にバンドを演っていたグレッグ・ヘトソンは、おそらく過酷なツアーを周ることが体力的に困難になったため、バッド・レリジョンを脱退した。のきなみ同世代の人たちが老いや体力を理由にバンド活動を辞めていく。キース・モリスは年齢に抗うように精力的にバンド活動を続けている。まるで30年近くくすぶり続けていた苛立ちを現代にぶつけるかのように。もしかしたらキース・モリスのパンクとは年齢に抗うことなのかもしれない。歳をとったから丸くなったとか、体力的に困難だとかそんな言い訳に唾を吐き捨てるような姿勢でバンド活動を続けている。