デトロイト出身のメタル/ハードコア・バンドの2作目。彼らの特徴とは、メタルとハードコア・パンクが融合したサウンドだが、D.R.IやSuicidal Tendencies(スイサイダル・テンデンシーズ)のようなスラッシュ・クロスオーバー)でもなければ、Shadows Fall(シャドウズ・フォール)のような近代的なメタルコアでもない。日本のハードコア・バンドのGISM(ギズム)やイギリスのブラック・メタルの先駆者VENOM(ヴェノム)を合わせた。80年代の極悪メタル&ハードコアを感じさせる骨太なサウンドなのだ。
不穏な空気と音が割れ歪みまくっていた録音状態の悪いサウンドが魅力だった前作と比べると、今作では、さらにノイジーなサウンドを展開している。今作でもコード進行やボーカルの歌い方からはGISM(ギズム)やVENOM(ヴェノム)の影響を感じる、ミディアム・テンポのメタル/ハードコア・サウンドをベースにしている。前作よりもメタル度が増し、ノイジーでバイオレンスな作品に仕上がっている。悪魔のささやきのようなボーカルに、バリバリ響くノイジーなギター。魔界をイメージさせるスローからピッチが上がる曲や、土石流のような勢いのブラストビートな曲、スラッシュメタルな曲などがあり、バラエティーに富んだ作品に仕上がっている。
サウンド。アルバム・タイトルの『死体と性交』が指し示す通り、かなりひどいアティテュードを持ったバンドだ。彼らが掲げているのは、卑劣さと悪魔崇拝にナチズムと血と暴力。そこにMotörhead(モーターベッド)のワイルドさとGG Allin(GGアリン)のスカトロ性をぶち込み、あらゆる邪悪な要素を詰め込んだ。
アルバム・ジャケットの真ん中のシールを剥がすとそこにはケツとキンタマが丸出しの被害者の写真が隠されていて、まるでヤンキー漫画のように、喧嘩の強いものが世界を征すような暴力に満ちた世界観がある。だがその暴力に満ちたジャケットには、どこかしら笑えるジョークのような要素がちりばめられている。けっしてシリアスな気持ちにはなれないところがこのアルバムの魅力の一つなのだ。
ワイルドで猥雑な時代錯誤なスタイルと、下品であらゆる邪悪な要素をふんだんに詰め込んだサウンドには、現在、没個性の傾向にあるアメリカン・ハードコア界で、唯一無二の個性を放っている。とてもアクの強い作品なのだ。