World of Pleasure (楽しみに満ちた世界)

カナダはカルガリー出身の、女性ボーカルJess(ジェス)と男性ドラムのColter(コルター)の2人で結成された、ヴィーガン・ストレートエッジ・バンドのデビューEP。

 

日本語で<楽しみに満ちた世界>と名付けられたバンド名には、苦難を乗り越えた先にある楽しみという、アイロニカルな意味が込められている。“Sweetness of life(人生の甘さ)”では、~プレッシャーに屈して、どうしてあなたの信念はそんなに弱い~とい歌い、“Domination(支配)”は、~食物連鎖の頂点から非難する。どうして死は人道的なのか?ヴィーガンが支配する>と歌っている。そしての“World of Pleasure(楽しみに満ちた世界)”では、~自己憐憫に溺れることはもうない。一人で生きていける。あなたのマインドコントロールに対して、怒りと復讐の道を選んだ。ヴィーガン・ストレート・エッジ~と歌っている。

 

動物の権利と命を守る優しさと、支配者への反逆と戦い。攻撃的で闘争心に満ちたハードコアなのだ。カルガリー市のあるアルバータ州のスローガンは「アルバータ州の牛肉が大好き」で、おもな産業は地球温暖化の原因であるオイルサンドの精製だそうだ。World of Pleasure(ワールド・オブ・プレジャー)のヴィーガン・ストレートエッジ思想には、アルバータ州への反抗と攻撃という意味も込められているようだ。

 

どちらかといえばJesus Piece (ジーザス・ピース)や初期CODE ORENGE(コード・オレンジ)に近い、革新的なハードコア・サウンドを展開しているWorld of Pleasure(ワールド・オブ・プレジャー)。ノイズまみれのギター、乾いた木と金属がぶつかり合うようなドラム、ヒステリックな女性ボーカルの怒声が印象的で、雪崩のような激しさが突如、静けさとメルヘンチックに満ちたチープなシンセに変わる。そこには激しい怒りが一瞬で静かな穏やかさに変わる二重人格者のような狂気を感じる。

 

オリジナルティーにあふれたサウンドで、作品次第では飛躍する可能性があり、今後の活躍に期待が持てるバンドといえるだろう。精神のネジが吹っ飛んだような、まさにマッドなハードコア。

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