World I Hate(ワールド・アイ・ヘイト)
『Years Of Lead (イヤーズ・オブ・リード)』

ミルウォーキー出身のパワーバイオレンス・バンドのデビュー作。前作は、パワーバイオレンスにALL OUT WAR(オール・アウト・ウォー)のニュースクール・ハードコアの野太いサウンドを融合したサウンドだったが、今作ではさらにノイジーに過激に深化している。

サウンド的には飾り気のないノイズギターを中心としたパワーバイオレンス。スローテンポからブラストビート変化していくドラム、マシンガンのような連射のドラム、ギターソロや、野太い怒声のボーカル、すべてをノイズで覆った音質、パワーバイオレンスという範疇のなかで、技術的にいろいろなものを取り入れ、ノイズ度が増した作品に仕上がっている。

歌詞は、刑務所のなかのほうが安全とか、家の中にいて外に行きたくないとか、外の世界に無関心とか、引きこもりや自閉、疎外といった内容が多い。人々は憎しみに満ちており、戦争は近い、外の世界にデストピアが広がる。そんな人間不信や人間同士の憎しみなど、バンド名同様、World I Hate(私の嫌いな世界)がテーマになっている。

パワーバイオレンスらしい戦争への怒りと絶望をフォーカスした作品で、あえて録音状態を悪くしたノイズまみれのサウンドには、世の中への怒りと絶望と、人間の醜い部分が浮き彫りなっている。