Rotten Mind(ロットン・マインド)
『Unflavored(アンフレイバード)』

スウェーデンはウプサラ出身のパンクバンドの5作目。初期のころは同じスウェーデンのMASSHYSTERI(マシストリー)ような、新しいスタイルのパンク・ロックを展開していた。

『Rotten Mind(ロットン・マインド)』では、ニューロマンティクスのような懐かしいメロディーに変化し、『Fading Into Oblivion(ファディング・イントゥ・オブリビオン)』ではJoy Division(ジョイ・ディヴィジョン)やEcho & the Bunnymen(エコー&ザ・バニーメン)、The Sisters of Mercy(シスターズ・オブ・マーシー)のような憂鬱で陰りのあるメロディーを取り入れた。『Rat City Dog Boy(ラット・シティー・ドッグ・ボーイ)』では、前作のサウンド路線である暗く憂欝なメロディーとイギリスのパンクと合わせたサウンドを展開。

今作でも暗く陰りのあるメロディーをベースに、パンクのスピード感やポストパンクのリズム感を取り入れたサウンドを展開している。前作の延長上にあるサウンドだが、ボーカルの歌声は熱く、よりスピーディーでパンクなサウンドに変化している。

このバンドの魅力はなんといっても、メロディーの良さにある。80年代のネオサイケのメロディーを取り入れながらも、現代的なアレンジでパンクと融合している。暗く憂欝な感情を急速洗い流すような、繊細で儚いメロディー。そこにはまるで船底から水底に沈んだ都市を俯瞰するような、幻想と儚さに満ちた美しさがある。

歌詞は、献身的な努力はしないや、空の世界、負ける、退化など、どこからあきらめや虚無感が漂っている。だがそのあきらめに似た憂鬱な感情が、美しいメロディーが交錯しながら、逡巡や憤りといった感情を放ち、散らばる光のように複雑な感情の光を放っている。

メロディック・パンクで憂鬱さを、幻想的でここまで美しメロディーで表現してバンドはいない。個人的にはかなり好きな作品。