SICK THOUGHTS(シック・ソーツ)
『HEAVEN IS NO FUN(ヘヴン・イズ・ノー・ファン)』


ルイジアナ州ニューオリンズ出身のガレージ・バンドの6作目。病んだ考えというバンド名で、サタンを愛し信仰している歌詞が特徴のバンド。

パンクやガレージロックの『Terminal Teen Age(ターミナル・ティーン・エイジ)』。RAMONES(ラモーンズ)をさらにノイジーにした『Songs About People You Hate(ソングス・アバウト・ピープル・ユー・ヘイト)』。前作のサウンド路線を踏襲し、そこにThe Cramps(クランプス)やハードロックな要素を加えた『DD Deth』と、あえて録音状態を悪くした状態で、ノイズまみれのサウンドをベースに、そこに微妙な変化を加えながら、作品を発表してきた。

今作ではメロディックパンクをベース楽しくポップに変化している。せっかちでスピーディーに疾走していくドラム、ガレージやRAMONESからの影響が強いカッティングギター、AC/DCを感じさせるギターソロなど、ガレージをせっかちにローファイにポップにしたサウンド。

『天国は楽しくない』というタイトルが付けられたアルバムには、どこかせっかちで、企んでいるようなニヒルさが漂っている。“母さん、私はサタンを愛しています”や、“あなたが嫌い”などの歌詞からは、キリスト教的な道徳観を捨て、憎悪や嫌悪などの感情を重視しろと訴えている。今作も悪魔崇拝を掲げている。アルバムタイトルの『天国は楽しくない』には、悪魔が住んでいる地獄のほうが楽しいと逆説的な意味が含まれており、悪魔的な歌詞をポップで明るいガレージパンクに乗せ、派手で扇情的な彼らならではの個性を演出。まさに<病んだ考え>を掲げたバンドなのだ。