syndrome 81(シンドローム81)
『prisons imaginaires(プリゾン・イマジネール)』

フランスはブレスト出身のパンク・バンドの7枚のシングルとEPを経て発表されたフルアルバム。

このバンドもRotten Mind(ロットン・マインド)やMASSHYSTERI(マシストリー)、Planet Y(プラネットY)などのバンドと同様で、簡潔な言葉を吐き捨て独特のリズムを刻む、新しいスタイルのパンク・ロックを展開している。

後期の BLITZ(ブリッズ)やROSE OF VICTORY(ローズ・オブ・ヴィクトリー)などのイギリスの80年代のOiパンクに、Camera Silens(カメラ・シノース)やKomitern Sect(コムターン・セクト)などのフランスのOiバンド、Joy Division(ジョイ・ディヴィジョン)やEcho & the Bunnymen(エコー&ザ・バニーメン)やThe Smiths (スミス)などのポストパンクを融合したサウンドを展開。パンクやポストパンク、パワーポップにハードコアとOiを融合させたサウンドは、独特な世界観を放ち、なによりメロディーが素晴らしい。

屈強でパワフルで男くさいパンクに、哀愁漂うメロディーが絡むサウンドといえば、face to face(フェイス・トゥ・フェイス)やLEATHERFACE(レザーフェイス)といったバンドたちが思い浮かぶ。だが彼らたちにはない独特な個性をsyndrome 81(シンドローム81)は持っている。

face to face(フェイス・トゥ・フェイス)やLEATHERFACE(レザーフェイス)のような哀愁や悲しみはそこにはない。まるで蜃気楼や幻でも見ているかのような幻想的な感情が漂っている。

歌詞は絶望やルーザー、運命の分かれ、燃え尽きたという内容が多い。絶望的な状況でも、絶望を楽しんで生きてやるという決意や、逃れなれない運命といった叙情的な感情がそこにはある。

日本人が理解するには難しい文化的な違いの感情がそこにはあり、フランス人特有の絶望感や人生観や情緒を個人的には感じる。それが彼ならではのパワフルでありながらも繊細でメロディックという不思議な感覚と感じる原因だろう。

世間的には、今年のベスト10のひとつになる可能性を秘めているといわれるほど、評価の高い作品だ。個人的にもこれほど素晴らしいメロディーを持ったバンドに出会ったのはひさびさだ。

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