シカゴのハードコア/パンク・バンドの3作目のシングル。いままでフルアルバム2枚とシングルを3枚発表している。シカゴ・ハードコアからの伝統を受け継ぐバンドで、とくにBlack Flag(ブラッグ・フラッグ)やArticles of Faith(アーティクル・オブ・フェイス)からの影響が強い。
Articles of Faith(アーティクル・オブ・フェイス)からの影響はサウンドだけではなく、歌詞やアティテュードの部分でも強く、Wrong War(間違った戦争)というバンド名が示す通り、リベラルでポリティカルな精神性を貫いている。
歌詞は大量生産される武器で無慈悲に殺されるや反戦デモ、感情のないコンピューターのようなシステム化した戦争など、<反戦>を掲げた内容が多い。今作でも<開戦の夜に深く考えてほしいと独裁者に訴えた>と歌った“On Further Reflection (さらなる反省について)”など、反戦の姿勢は貫かれている。
サウンド的には、後期Articles of Faithのような複雑なギターのリフや多彩なメロディーを取り入れたバンドで、ハードコア/パンクをベースにしている。今作でも挑発的なメロディーと野太いギター、団結心を煽るコーラス、熱いシャウトのボーカルを中心としたサウンドに変わらない。だが機械音のようなシンセとハードコア/パンクを融合し、新しいサウンドを追求している。そこにはハードコア/パンクにありがちな、似たようなサウンドのアルバムを作るという意識を毛嫌いしているのが理解できる。現状にとどまらず、古き良きハードコア/パンクを、現代のアレンジを加え、進化させていこうとする、気概と熱意に満ちたバンドなのだ
つねに進化を求める姿勢でもArticles of Faith(アーティクル・オブ・フェイス)の意志を確実に受け継いでいる。まさにシカゴの伝統を現代に受け継ぎ進化させたバンドなのだ。