The Locust(ロカスト)やDead Cross(デッドクロス)などのメンバーで知られるサンディエゴのパンク名士Justin Pearson(ジャスティン・ピアソン)。彼が結成したバンド、Deaf Club(デフ・クラブ)の3作目となるEP。
ブラストビート中心のパワーバイオレンスに、制御を失ったシンセが暴走するAtari Teenage Riot(アタリ・ティーエイジ・ライオット)のようなデジタル・ハードコア、クラスト、阿鼻叫喚のボーカルが暴発する花火のように乱れ飛ぶ展開。まさにデジタル・クラスト・ハードコアと呼ぶサウンドを展開している。
今作でも前作までのデジタル・クラスト・ハードコアに変わらない。むしろサウンドを過激に突き詰め深化させている。ハイテンションの阿鼻叫喚のボーカルは相変わらずで、宇宙をイメージさせる不思議なデジタル音を、いろいろと突き詰め、宇宙人的な不思議なサウンドを追求している。Pixies(ピクシーズ)のカバー曲である“Broken Face”も、原曲を感じさせない異文化的な異質なアレンジが施されている。
アティテュード的には悪魔崇拝のサタニズム的な要素が加わっている。“But Does It Fart?(でもオナラは出るの?)”の歌詞では、<虚栄心を捨て、人間性を解放する。でも、おならはするの?>と歌い、“If You Eat a Rat, It Might Taste Good(ネズミを食べたら美味しいかもしれない)“の歌詞も、下品で無意味な内容が多い。そこには恐怖な要素をコミカルにあざ笑うような、恐怖とユーモアが同居する猟奇的な感情に満ちている。
ここにはSFデジタル・クラスト・ハードコアと呼ぶべき、誰も真似できない唯一無二のオリジナルティーがある。サンディエゴ・ハードコアの重鎮Justin Pearson(ジャスティン・ピアソン)らしい素晴らしい作品だ。