ニューヨークはバッファロー出身のポスト・ハードコア・バンドのファーストEP。いまから30年ほど前に、現Terror(テラー)のボーカル、Scott Vogel(スコット・ヴォーゲル)と、現 Snapcase(スナップケース)のボーカルTim Redmond(ティム・レイモンド)のツインボーカルを中心に、Earth Crisis(アースクライシス)で活動しているドラムのDennis Merrick(デニス・メリック)などの錚々たるメンバーによって、結成されたバンド。30年経った2022年に再度メンバーが集まり、リリースされた記念すべきファーストEP。
バッファロ―のハードコア・シーンは、実験的で独特なサウンドを奏でるバンドが多い。Cinderblock(シンダーブロック)も同じくポストハードコアで、Snapcase(スナップケース)をよりヘヴィーに、よりトリッキーに進化したサウンドを展開している。変則的なリズムのドラム、ときには神経質でときにはヘヴィーな轟音を奏で、左右の音が入れ替わるトリッキーなギター。甲高いの怒声とドスの効いた弾く声のシンガロング・ボーカル。低音と高音、繊細と轟音、左右と裏表が目まぐるしく入れ替わっていく。激しく繊細でトリッキーで狂った混乱の目まぐるしく変化していくポスト・ハードコアだ。
バッファローのハードコア・バンドは、チュガ・チュガ・バッファロー・ハードコアと呼ばれ、変則的でトリッキーな独特なサウンド・スタイルをどのバンドも持っている。そんなバッファロー・ハードコアの伝統を色濃く感じる作品だ。22年目にしてようやく発表された『Breathe The Fire(ブリーズ・ザ・ファイア)』は、もし90年代当時に発表されていたら、Snapcase(スナップケース)と同じくらい話題になっただろう。変則的でトリッキーというバッファロー・ハードコアの伝統を受け継ぎながらも、Snapcase(スナップケース)とは違った個性を持っている。素晴らしい作品だ。