PAIN OF TRUTH(ペイン・オブ・トゥルース)
『Not Through Blood(ノット・スルー・ブラッド)』

ニューヨークはロングアイランド出身のメタリック・ハードコア・バンドのデビュー作。まさにニューヨーク・ハードコアのど真ん中を行くサウンドで、MADBALL(マッド・ボール)のミディアムテンポのサウンドからAGNOSTIC FRONT(アグノスティック・フロント)のギターソロ、HATEBREED (ヘイトブリード)の金属的屈強なサウンド、INCENDIARY(インセンディアリィ)のようなパワフルなメタリック・ハードコアなど、ニューヨーク・ハードコアの伝統が凝縮されている。

重くメタリックで重厚なギターから、暗闇で厳かに静かにブンブンうねりを上げるベース、性急なスピードのドラム、ヒップホップな歌い回しと怒声が入り混じったボーカル、80年代から90年代00年代にいたるまでのニューヨーク・ハードコアの伝統を体系的に受け継いだサウンド。そこにはギャングアティテュードのような厳かで暴力に満ちた緊迫した雰囲気が漂っている。

歌詞は、<俺は家族のために戦う。お前の言葉などクソ食らえだ。>や<自分で考える。一歩下がって。頭を使え>など、そこには自分が生き抜く処世術や、家族の絆、敵対する者への攻撃など、ギャングの任侠のような世界観がある。

ゲストボーカルにMADBALL(マッドボール)のFreddy(フレディー)、TERROR(テラー)のScott Vogel(スコット・ヴォーゲル)、TRAPPED UNDER ICE(トラップド・アンダー・アイス)のJustice Tripp(ジャスティス・トリップ)、THE MOVIELIFE(ザ・ムーヴィーライフ)のVinnie Caruana (ヴィニー・カルーアナ)、MINDFORCE(マインドフォール)のJay Peta(ジェイ・ペタ)、INCENDIARY(インセンディアリィ)のBrendan Garrone()など、多彩なゲストが参加している。彼らたちのアドバイスや多彩なアイデアを、このアルバムに取り入れたのだろう。だからゲスト参加したバンドたちの影響をどこかに感じつつも、自分たちの個性と合わせ、オリジナルティーあふれるサウンドに仕上がっている。まさにニューヨーク・ハードコアの進化の最先端にいるサウンド。素晴らしい作品だ。