Nuclae(ニュークレ)
『Bringing Out The Beast(ブリニング・アウト・ザ・ビースト)』

元Integrity(インテグリティ)のギタリストにして、SF作家であるAaron Melnick(アーロン・メルニック)によって結成され、自らのサウンドをSFシュケイザー・ヘヴィー・ハードコアと名付けられたバンドのデビュー作。これがかなり実験的なサウンド追及している。

バンド名のNuclae(ニュークレ)とは、遺伝子編集された人々という意味で、例えるならジョジョの奇妙な冒険の第二部に登場するカーズのように、DNAを自在に編集できる人間のことを指している。

そのサウンドは、ハードコアの野太いギターから、GISM(ギズム)のような日本のハードコア、クラッシクメタル、音をミニマムに絞ったアコースティック・ギター、ゴズ、ノイズなどが融合したインストゥルメンタル。ランディ―内田からの影響が強いヘヴィーなギター・サウンドと、不吉な寂寥感に満ちたアコースティックが、行き来するサウンドで、抑制の効いた歌声で、あきらめや気だるさ、絶望や孤独などのダウナーな感情に満ちている。

地獄の底で鳴っているような気が滅入るような重苦しギターサウンド、そこに悪魔が召喚するようなギターソロが、神秘的な美しさを放っている。重苦しいヘヴィーなギターサウンドと、ミニマムで不吉な寂寥感のアコースティック、ダウナーな感情にまとめられた激しさと静けさが行き来するサウンド。Nuclae(ニュークレ)にしかない独特な個性を放っている作品なのだ。