Texas Hardcore テキサス ハードコア・シーンについて

ここではテキサスの各バンドたちを紹介していきたい。
オースティン出身のThe Big Boys(ザ・ビック・ボーイズ)は、同性愛者で、テキサスのマイノリティーを代表する象徴的なバンド。変な目で見られても個性的であることを称賛し、ハードコアにファンクを融合した独特なサウンドを演奏していた。代表曲の“fun fun fun(ファン・ファン・ファン)”では、2つに分断したテキサス・ハードコア・シーンについて歌い、保守主義と少数派の分断とも取れるような内容だった。

出典:Austin Texas Punk Archive from Visual Vitriol
 

ザ・ビック・ボーイズと並びテキサス・ハードコア・シーンを牽引していた同じくオースティン出身のThe Dicks(ザ・ディックス)は、ゲイで共産主義者。悲哀に満ちたブルースをベースにしたハードコアで、心の痛みと裏切りについて歌っていた。“Hate The Police(ヘイト・ザ・ポリス)”や“No NAZI’S Friend(ノー・ナチズ・フレンド)”、“Bourgeois Fascist Pig(ブルジョワジーズ・ファシスト・ピッグ)”では、保守主義が支配するテキサスそのものを憎み、完全否定していた。

出典:BazillionPoints
 

サンアントニオ出身のButthole Surfers(バッドホール・サーファーズ)は、ハードコアというよりもオルタナとして語られることが多かったバンドだが、ノイジーなパンクに、アシッド・サイケ、ノイズ、ロカビリー・ウエスタン、アヴァンギャルド、ファンクなどを痰壺にぶちこみ融解した。保守主義のおぞましさをブラック・コメディーで語り、ハンバーガーが詰まった人体模型、燃え上がる炎、染料が入ったコンドーム、全裸など、奇行が繰り広げられるライヴで、抑圧された者たちの個性的な芸術を表現した。テキサスの負の部分を凝縮したバンドなのだ。

出典:PRESS POP
 

The Jesus Lizard (ジーザス・リザード)やBig Black (ビック・フラッグ)の前身となるバンドのScratch Acid(スクラッチ・アシッド)も、オルタナのジャンルでくくられることが多かった。ロカビリーをパンクにブレンドしたサウンドで、極限まで汚くノイジー。その後ノイズロックと呼ばれることになるサウンドは、90年代に花開くオルタナティブ・シーンの先駆け的な存在だ。

出典:Discogs
 

TEXAS IS THE REASON:テキサス・パンクの異端者たち

PAT BRASIL