Chicago Punk/Hardcoreシカゴ・パンク/ハードコア・シーンについて(1977-1984)

Harm’s Way(ハームズ・ウェイ)


出典:REVOLUER
Harm’s Way(ハームズ・ウェイ)は、ハードコアをベースに、INTEGRITY (インテグリティ)のようなサタニズムや、ドゥームメタル、グラインドコアに、闘牛士のようなスパニッシュギターなどを取り込んだ、かなりブラックメタル色が強いハードコア。最高傑作である『Isolation(アイソレーション)』では、インダストリアルやノイズなどを取り込み、独自のメタリック・ハードコア・サウンドを完成させた。激しいノイズとプレス機のように重いギターのサウンドからは、恐怖の妄想や精神錯乱、情緒不安定の絶望や悪夢といった感情が漂っている。憎悪と恐怖と絶望に満ちたサウンドだが、ボーカルのJames Pligge(ジェイムス・プリッチ)重量挙げの選手で、スポーツとメタリック・ハードコアの融合というテーマで活動をしている。
 

Weekend Nachos(ウィークエンド・ナチョス)


出典:Discogs
Weekend Nachos(ウィークエンド・ナチョス)は、Infest(インフェスト)やNails(ネイルズ)の影響がかなり強いパワーバイオレンス・バンド。Siege(シージ)ばりのスローな曲から、耳障りなボーカル、超スピード・ハードコアからブラストビート、ナパーム弾のようなギターの壁、躁病のような激しさ、すべてがノイズに満ちた楽曲。汚く荒々しく、まさにパワーバイオレンスのど真ん中を行くサウンドだ。歌われている内容は、パワーバイオレンス・バンドらしく、Fake Political Song(偽善の政治の歌)、Dog Shit Slave(犬のクソ奴隷)、World Genocide (世界大虐殺)など、人類に対する怒りや憎しみ、すべてがネガティブで憎悪に満ちている。10年以降の正当派パワーバイオレンス・バンドだ。
 

𝄃その他

DWARVERS(ドワーヴス)


出典:Sometimes Chaotic
最後にDWARVERS(ドワーヴス)について語りたい。85年から活動しているバンドで、初期のころにはシカゴ・パンクシーンも関わっていたそうだが、活動の拠点をサンフランシスコに移した。いまでこそ変態ガレージ・パンク・バンドして有名になったが、そのきっかけはGG Allin(GGアリン)に出会って、パンツ一枚にマスク姿という、変態性を増したという。血まみれな全裸の女性のエログロのあるアムジャケット。ガレージロックに、蠅の羽音などを取り入れた、下品でふざけたサウンド。シカゴのパンクバンドのなかで、下品でエログロで破天荒というパンク精神を貫いたのは、彼らだけなのだ。

You Weren’t There : A History Of Chicago Punk 1977 – 1984
Joe Losurdo, Christina Tillman監督