Chicago Punk/Hardcoreシカゴ・パンク/ハードコア・シーンについて(1977-1984)

𝄃メタルコア

Arma Angelus(アーマ・アンジェラス)


出典:ALL MUSIC
Arma Angelus(アーマ・アンジェラス)は、現FALL OUT BOY(フォール・アウト・ボーイ)で、ベースを担当しているPete Wentz (ピート・ウェンツ)と現Rise Against(ライズ・アゲインスト)のTim Mcilrath(ティム・マクイルラス)が、在籍していたことで知られるメタルコア・バンド。アメリカのAllMusicがArma Angelus(アーマ・アンジェラス)のサウンドスタイルを「ダークでメタリックなハードコア」と表現していたが、まさにその言葉通り、ホラーサスペンスな要素を感じるメタルコアだ。アルバムタイトルの『Where Sleeplessness Is Rest from Nightmares(不眠が悪夢からの休息である場所)』通り、猟奇殺人映画を想起させるシリアスで神経質なメロディー、ハンマーを振り下ろすような重いメタルのリフ、苦悩にみちたデス声など、メタルコアのなかでも独特な個性を持ったサウンドなのだ。
 

Racetraitor(レーストレイター)


出典:Discogs
Racetraitor(レーストレイター)は、ヴィーガン・ストレートエッジにして、ポリティカルな政治思想を持ったメタルコア・バンド。そのサウンドは、デス・メタルやグラインドコア、ドゥーム・メタルをEarth Crisis(アース・クライシス)系のニュースクール・ハードコアと融合した、メタル度がかなり高いメタルコアだった。とくに人種差別や白人特権にフォーカスを当てた歌詞が有名で、人種政治への過激な取り組みが、様々な人たちと軋轢を生み、論争を巻き起こすバンドでもあった。またEarth Crisis(アース・クライシス)によって、ヴィーガン・ストレートエッジ思想が確立する前の、創始者とも言われるVEGAN REICH(ヴィーガン・リッチ)のメンバーが在籍。白人特権と闘っていく姿勢と、ヴィーガン・ストレートエッジという、けっして揺らぐことのない強固な考えを持ったバンドなのだ。
 

The Killing Tree(ザ・キリング・ツリー)


出典:Discogs
The Killing Tree(ザ・キリング・ツリー)は、現Rise Against(ライズ・アゲインスト)のフロントマンであるTim McIlrath(ティム・マキルラス)と、元Rise Against(ライズ・アゲインスト)のギタリスト、Todd Mohney(トッド・モーニー)らによって結成された叙情系ハードコア・バンド。Rise Against(ライズ・アゲインスト)のサイドプロジェクトという意味合いが強いバンド。叙情的で悲劇的で神経質なギターのメロディーや、シンガロング・スタイルと絶叫(スクリーム)は、典型的なスクリーモともいえるサウンド。唯一の作品である『The Romance of Helen Trent(ヘレン・トレントのロマンス)』では、アルバムの主人公であるHelena Marie(ヘレナ・マリー)という女性の、素朴で、楽観的で、傷つきやすく、後悔や自己嫌悪に陥る生々しい感情を、人間関係や情緒不安定な内面の世界について、コンセプトアルバムのように歌っている。
 

Baxter(バクスター)


出典:Wikipedia
Baxter(バクスター)は、現Rise Against(ライズ・アゲインスト)のフロントマンであるTim McIlrath(ティム・マキルラス)と、後にLAWRENCE ARMS(ローレンス・アームズ)に加入するNeil Hennessy(ニール・ヘネシー)らによって結成されたエモーショナル・ハードコアよりのパンク・バンド。こちらはRise Against(ライズ・アゲインスト)のサイドプロジェクトというよりも、Rise Against(ライズ・アゲインスト)の前身的な意味合いが強い。このバンドで、熱く聴くものを引き込むTim McIlrath(ティム・マキルラス)のボーカル・スタイルが確立されたのが理解でいる。ミディアムテンポで、エモのような荒々しいギターメインのサウンドスタイルは、のちのRise Against(ライズ・アゲインスト)のサウンドと比べるとまだ、未完成に感じる部分が多々ある。だがいろんなことを試し、自分たちに合うスタイルは何かと試行錯誤している姿が印象的だ。

You Weren’t There : A History Of Chicago Punk 1977 – 1984
Joe Losurdo, Christina Tillman監督